2025.02.27
介護業界では、人材不足の深刻化を背景にICT(情報通信技術)の導入が進んでいます。介護記録の電子化や翻訳ツール、インカムの活用により、業務の効率化や職員の負担軽減が実現されつつあります。
一方で、近年増加している外国人介護人材の定着においては、言語の壁や業務への適応が大きな課題となっています。これらの課題を解決するために、ICTを活用した日本語教育が注目されています。
今回は、介護現場で導入が進むICTツールの活用事例を紹介するとともに、ICTの活用による外国人介護人材のスムーズな業務適応をサポートする日本語学習法について解説します。
介護業界では、ICTの導入が進み、業務の効率化や職員の負担軽減が図られています。特に、以下のようなツールが多くの介護施設で活用されています。
従来、介護記録は紙ベースで管理されていましたが、現在ではタブレットやPCを活用した電子記録システムが主流になりつつあります。これにより、次のようなメリットがあります。
手書きの負担が減り、記録にかかる時間を大幅に短縮可能になります。
リアルタイムで記録を確認・更新でき、スタッフ間の情報伝達ミスを防ぐ効果が期待されます。
簡単な入力インターフェースや多言語対応機能があるため、外国人職員でも記録しやすいシステムです。
外国人介護人材の増加に伴い、翻訳機や翻訳アプリを活用する施設も増えています。
携帯型翻訳機を使用することで、日本人の職員や利用者とのコミュニケーションがスムーズに図れます。
翻訳アプリを使えば、スマートフォンやタブレットでリアルタイムに会話の翻訳が可能です。ただし、翻訳機の精度には限界があり、専門用語や細かなニュアンスが正しく伝わらないこともあります。そのため、日本語教育との併用が重要となります。例えば、業務に必要な基本的な日本語を学んだ上で翻訳ツールを補助的に使用することで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
介護現場では、インカム(ワイヤレス通信機器)を活用し、職員同士の迅速な情報共有を図る施設が増えています。
緊急時の対応がスムーズになり、移動中でもリアルタイムで情報を伝達することが可能です。困った時にすぐに上司・同僚へ問い合わせができるので、外国人職員のサポートにも役立ちます。
また、インカムを導入することで、特に夜間の少人数体制のときに円滑な連携が取れるようになり、介護サービスの質向上につながります。
外国人介護人材の増加に伴い、ICTを活用したeラーニングによる日本語学習が注目されています。特に、介護現場で求められる専門的な日本語を効率的に学ぶために、オンライン教材や動画レッスンを活用する施設が増えています。
Zenkenでは、外国人介護人材を対象としたオンラインで学習する日本語教育プログラム「ZENKEN NIHONGO 介護」をご用意しています。
「動画レッスン」と「オンラインライブ授業」の二部構成になっており、動画レッスンでは、日々の業務に必要な介護知識や介護日本語について学び、読み取りや聞き取り能力の向上にも繋がります。
ライブ授業では、動画レッスンで学習したことの理解を深め、運用につなげる授業を行います。ライブ授業で講師や仲間と一緒に話しながら勉強することで、学習へのモチベーションを維持し、介護現場でのコミュニケーションや業務への意欲・自信の向上につなげることを目的としています。
「ZENKEN NIHONGO 介護」について、詳しくは以下をご覧のうえ、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
ICTの活用は、単に便利なツールを導入するだけではなく、介護職員の負担を軽減し、介護サービスの質を向上させる重要な役割を果たします。具体的にどのような影響を与えるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
介護の現場では、利用者の移乗や排泄介助など身体的負担の大きい業務が多くあります。ICT機器の導入により、次のような負担軽減が期待できます。
ICTの活用により、職員一人あたりの業務量を最適化し、限られた人員でも質の高いケアを提供できるようになります。
例えば、電子記録を活用することにより、データが一元管理され、ケアプランの作成をスムーズに行えます。
また、翻訳ツールの導入は、日本人職員と外国人介護人材との円滑なコミュニケーションを実現します。
ICTの導入は、厚生労働省も推進しており、補助金制度を活用してICT機器を導入する事業所も増えています。
Zenkenは、厚生労働省の令和6年度 老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の受入れ・定着にむけた効果的なICT機器等のツールの利用に関する調査研究事業」の調査検討委員として活動しております。詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
介護業界では人手不足を補うため、外国人介護人材の受け入れが急速に進んでいます。EPA(経済連携協定)や特定技能制度を活用し、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、インドなどの国々から多くの外国人が介護施設で働くようになりました。
外国人介護人材の受け入れが進む一方で、言語の壁や業務適応の難しさが大きな課題として浮上しています。具体的な課題を挙げて見ていきましょう。
介護現場では、利用者の状態報告やケアの記録など、日本語でのコミュニケーションが不可欠です。しかし、日本語能力が十分でないと、利用者さんとのやり取り、職員同士の情報共有がうまくいかず、業務の質や効率が低下することがあります。
日常会話と異なり、「誤嚥」「拘縮」「離床」などの専門用語を正しく理解することが求められますが、習得に時間がかかるケースが多く見られます。
言語の問題だけでなく、文化の違いによる戸惑いもあります。日本の介護現場では、利用者に対する細やかな配慮や、チームワークが重要視されるため、外国人職員が適応するのに時間を要することも少なくありません。
前述の課題を解決するために、ICTを活用した日本語教育が有効な手段として注目されています。ICTを活用して外国人介護人材への日本語教育を支援するポイントは以下の通りです。
介護の仕事は、業務時間が不規則な場合もあり、決まった時間に日本語教室へ通うことが難しいケースが多くあります。ICTを活用したオンライン学習(eラーニング)であれば、自分のペースで効率よく学習できるため、スムーズに業務に適応しやすくなります。
オンライン学習では、一般的な日本語学習だけではなく、介護現場で必要な日本語に特化した教材を活用することで、実際の業務に即した学習が可能になります。例えば、介護記録の書き方や、利用者との適切な会話表現を重点的に学ぶことで、実務に直結するスキルを短期間で身につけられます。
動画学習やオンラインライブ授業を活用し、視覚・聴覚をフルに使った学習スタイルを取り入れることで、単調な学習になりにくく、学習意欲の向上にもつながります。また、講師や同じ立場の仲間とリアルタイムで会話できる環境があることで、学習のモチベーションを維持しやすくなります。
介護現場でのICTの導入は、業務効率化や職員の負担軽減に大きく貢献しています。介護記録の電子化、翻訳ツール、インカム、そしてeラーニングの活用により、介護職員の負担を軽減しながら、介護の質を向上させることができます。
また、外国人介護人材の受け入れが進む中で、日本語習得と業務適応のサポートは重要な課題です。ICTを活用した日本語教育は、学習の柔軟性を高め、効果的な手段となります。
Zenkenでは、外国人介護人材向けのオンライン日本語教育プログラム「ZENKEN NIHONGO 介護」をご用意しています。「動画レッスン」と「ライブ授業」を組み合わせて学習を進めていき、特に動画レッスンは、時間や場所を問わず、スキマ時間に効率的に学ぶことが可能です。
外国人介護人材の日本語学習を効果的に進めたいとお考えの施設ご担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。
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