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地方自治体の外国人介護人材支援とは?
~実例公開と具体的な支援策~

2025.04.08

介護人材の深刻な不足が全国的に進む中、外国人介護人材の受け入れは、地域の介護現場を支える有効な選択肢として注目されています。しかし、受け入れや定着には、言語や文化の壁、生活面での支援など、さまざまな課題が伴います。こうした現場の課題解決には、自治体による包括的な支援と地域ぐるみの取り組みが不可欠です。

本コラムでは、地方自治体が果たすべき役割や実践的な支援策について、実際の事例を交えて、外国人介護人材支援の最新動向をわかりやすく解説しています。

 

目次

目前に迫る介護人材不足の深刻さ

日本は今「2025年問題」に直面しています。2025年には、団塊の世代の全員が後期高齢者(75歳以上)となり、高齢者人口が一気に増加することが見込まれているのです。

厚生労働省によれば、2040年には全国で約57万人もの介護人材が不足すると試算されており、都市部のみならず地方においてはその影響はより深刻化すると予測されています。

 

参照:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」

 

この喫緊の課題に対し、すでに多くの自治体や介護施設では人材確保策を検討・実施していますが、中でも注目されているのが外国人介護人材の積極的な受け入れです。

 

外国人介護人材の受け入れ—求められる自治体の積極的な役割

外国人介護人材の受け入れ制度には、特定技能、技能実習、EPA(経済連携協定)などがありますが、現在特に普及しているのが「特定技能」制度です。

制度自体の活用が進む一方で、「日本語能力の不足」、「文化や習慣の違い」、「地域や職場への定着困難」といった課題も浮き彫りになっています。

こうした課題の解決は、介護施設単独での対応には限界があり、自治体が果たすべき役割が極めて大きいと考えられています。介護施設への外国人介護人材の受け入れ促進から、地域社会への定着支援、外国人介護人材を支援する仕組みの提供まで、包括的に自治体が関与する必要性が高まっています。

また、受け入れ先である介護施設の状況は、受け入れ経験の有無や規模によって課題が大きく異なります。

未受け入れ施設では、「どのような制度があるのか」、「何から準備すればよいのか」といった基本的な情報不足がボトルネックになります。一方で、受け入れ経験のある施設においては、受け入れにかかる住宅費などのコスト負担、人材の離職・流出、日本人職員との連携や文化的摩擦といった実務的な課題、さらには新たな国(送出国)への対応負担など、より複合的な課題が現れています。

このように課題は施設の段階によって異なり、個別の状況に応じたサポート設計が求められます。

 

外国人介護人材が抱える具体的な課題と自治体の役割

外国人介護人材が現場で感じる主な課題は大きく分けて以下の通りです。

  • 言葉の壁(日常会話以上の専門的な日本語の壁)
  • 職場の文化的背景や価値観の相違による誤解や孤立感
  • 地域社会との接点が少なく、生活上の不安
  • キャリアパスや資格取得への道筋が不透明なことによる意欲低下

外国人介護人材の課題は、単に「言語の壁」や「文化の違い」にとどまらず、制度上の複雑さや地域社会の理解不足など、本人の努力だけでは解決できない構造的な課題も含まれます。

特に地方部では、生活インフラや相談体制の整備が不十分であることが、キャリア形成の妨げとなることもあります。こうした環境の整備は、施設単位では限界があり、自治体・国レベルの包括的支援が不可欠です。

 

地方自治体が実施すべき支援策とは

自治体が外国人介護人材の受け入れ・定着に向けて提供すべき施策としては、主に以下の4点が考えられます。

 

① 施設への準備支援と受け入れ促進

外国人介護人材受け入れに必要な手続きや雇用のノウハウを提供すること、また助成金や補助金の制度設計を明確化し、広く周知することが重要です。

 

② 日本語教育や異文化理解教育の充実化

外国人介護人材が安定して働き続けるためには、実践的かつ継続的な日本語教育プログラムが不可欠です。さらに、職場の日本人職員に対する異文化理解教育を提供することも、円滑な職場運営に欠かせません。

 

③ 地域社会と外国人介護人材との共生促進

外国人介護人材が地域社会に溶け込みやすくなるよう、地域住民向けの啓発活動や多文化交流イベントの開催、外国人職員専用の相談窓口設置など、地域全体での支援が求められます。

 

④ 厚生労働省の関連事業の活用による支援強化

施設や自治体がこれらの課題に対応するためには、厚生労働省が令和7年度予算化している外国人介護人材向けの支援事業を活用することが重要です。各事業は受け入れ準備・育成・定着の各フェーズをカバーしており、現場の実情に即した支援が可能です。

 

外国人介護人材受入施設等環境整備事業

日本人職員・外国人職員間のコミュニケーション支援、多言語ツールや翻訳機の導入、資格取得・メンタル支援等に補助。

 

外国人介護人材研修支援事業

介護技能や指導技術向上のための集合研修、指導者研修を実施。

 

外国人介護人材獲得強化事業

海外の日本語学校や送り出し機関との関係構築、現地説明会やPR活動、マッチング支援を推進。

 

外国人介護人材定着促進事業

受入施設への巡回訪問、オンライン・SNSでの相談支援、交流会、Japan Care Worker Guideの多言語発信など。

 

これらの施策は、Zenkenの提供するワンストップ支援とも親和性が高く、国の制度と民間支援を組み合わせた「多層的な支援モデル」の構築が可能です。

 

地方自治体による事例紹介

実際に、自治体が積極的な役割を果たして成功した事例もあります。

例えば、Zenkenが受託した新潟県の【令和6年度「新潟県外国人介護人材定着支援研修(受入施設等職員向け)】では外国人介護人材を受け入れている、もしくは受け入れを検討している施設の日本人職員を対象に、外国人介護人材の理解促進、職場環境改善策などの実例を交えた実践的なセミナーを実施しました。

鳥取県でも【令和6年度鳥取県外国人介護人材受入職員研修事業オンラインセミナー】を実施。施設職員が外国人介護人材を受け入れる際の課題や具体的な解決策を学ぶことで、「受入準備の重要なポイントが理解できた」、「受け入れにおける不安が解消できた」という声が寄せられ、県内施設において外国人職員の受け入れに対する理解が深まりました。

茨城県においては【 茨城県令和7年度介護職種技能実習生等国家試験対策支援事業】を行っています。この事業は技能実習生や特定技能外国人が介護福祉士国家試験に合格できるよう、学習支援を目的とした対策講座を実施。基礎から応用まで段階的に学べるカリキュラムを提供し、外国介護人材が安心して受験に臨める環境を整えております。

 

Zenkenの地方自治体サポート

外国人介護人材の受け入れと定着を成功させるためには、国による支援事業に加えて、自治体・施設が効果的に外国人材を活用するには、実践的な伴走支援が欠かせません。

Zenkenは、インドやインドネシアを中心に海外現地での人材募集・教育を行い、日本への人材紹介だけでなく、日本語教育や資格取得支援、登録支援機関としての外国人介護人材支援業務をワンストップで提供しています。

このような包括的なサポートを行っているからこそ、自治体向けとして、制度理解支援・育成・資格取得支援・定着サポートまで一貫した提案が可能となっており、国の施策と連動する形で、より効果的な人材活用を後押しします。

 

<特徴①>

Zenkenは自社でも介護施設(全研リビング)を運営しているため、実際の介護現場における課題やニーズをふまえ、最適な支援をご提案できます。

 

<特徴②>

ZenkenはWebマーケティング分野においても強みを持っています。インターネットを活用した情報発信において多数の実績があります。自治体が実施する外国人介護人材への支援施策や成功事例を、セミナーや事業の周知を様々なメディアを活用して、地域に広く伝えることが可能です。

例えば、外国人介護人材受け入れに関する特設Webページの制作、海外人材に自分たちを選んでもらうためのPR活動などの支援、SNSやオールドメディアを活用した地域内での受け入れに向けた機運醸成など、自治体の施策が適切にターゲットへ届くよう最適なマーケティング支援を提供しています。

Zenkenの自治体向けサポートの活用を通じ、自治体が取り組む外国人介護人材支援の活動を効果的にアピールし、地域社会全体での理解促進や協力体制の構築に繋げることができます。

 

まとめ

介護業界における外国人介護人材の活用は、もはや避けて通れない重要な選択肢です。自治体が積極的にリードし、人材不足解消だけでなく、地域全体の活性化にもつながるサポートをしていくことが肝要です。

各自治体の担当者様や介護施設の方々においては、本コラムが取り組みの一助となり、よりよい介護環境の実現につながることを願っております。

外国人介護人材の受け入れや定着支援に関するお問い合わせは、以下よりお気軽にご相談ください。

 

 

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