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海外からの介護人材を定着させるために必要な日本語教育支援とは?

海外介護人材を採用されている事業者の皆様、採用を検討されている事業者皆様、「採用した人材に長く働いてもらいたい…」「採用したいけど、どうやって人材育成をしたらいいの…?」というお悩みはありませんか。

そこで今回は、海外介護人材定着のための日本語教育支援についてお伝えいたします。

目次

海外人材が介護現場で働くための在留資格は4種類

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少で、日本では様々な分野での労働力不足が深刻化しており、介護業界では、2025年度に約32万人の介護職員が不足すると見込まれています。この人材不足解消のために、2019年に新たな在留資格「特定技能」が創設されました。

これにより、介護職に従事できる主な在留資格は、2008年に介護福祉士候補者の受け入れがスタートした「EPA(介護福祉士候補者)」、2016年に創設された「介護ビザ」、2017年に介護分野が対象に加えられた「技能実習生」、併せて4つとなりました。

しかし、介護職員として在留期間の制限なく日本で就労できる「介護ビザ」を除き、それぞれの在留資格には、4~5年の在留期限が設けられています。一般的に4~5年といえば、中堅職員として一人である程度の業務をこなせるまでになっている頃でしょう。来日した人材が仕事を覚え、これから一人前の介護スタッフとして活躍するであろうというときに、ビザの期限を迎えてしまうのです。

それ以上日本で介護職員として働くためには、国家資格「介護福祉士」試験に合格し、「介護ビザ」を取得することが必要となります。

以下のページでは、在留資格4種類について詳しく解説しています。あわせてぜひご一読ください。
外国人を介護職員として雇用できる在留資格の種類と特徴を徹底解説!

海外人材にとって国家資格「介護福祉士」取得のハードルは決して低くない

2022年度は2023年1月29日に第35回の試験が行われました。前年度の第34回介護福祉士国家試験について見てみると、受験者全体の合格率は72.3%ですが、EPA受験者の合格率は36.9%、外国人にとっては決してやさしい試験ではないようです。

外国人受験者への配慮として、漢字にふり仮名を振る、設問の日本語をややわかりやすくする、試験時間を通常の1.5倍にする等の対応がありますが、それでも、試験の出題範囲は多岐に渡り、基本的には日本人と同等の知識や技術が必要とされるため、短い在留期間で介護福祉士を取得するためには、来日時から計画的に学習を進めることが合格のカギとなります。

海外介護人材の教育支援は最初の2年間が大切

特定技能人材、技能実習生を例にすると、介護福祉士国家試験受験のために3年の実務経験と実務者研修の修了が受験資格として求められます。このため、年に1度しかない国家試験を受験するチャンスは在留期間5年間のうち、最後の2年(2回)のみです。

合否発表の時期とその後の在留資格変更申請の手続きにかかる期間を考慮すると、来日のタイミングによっては、十分な学習期間が確保できないまま受験しなければならない場合もあります。

だからこそ、3年目を迎えるころまでには国家試験対策の勉強が可能なレベルにまで日本語が上達していなければ、合格の見込みはかなり低くなってしまいます。来日の段階から、どのように日本語力をつけ、介護福祉士取得に向けてどう準備していくか、計画的に考えておかなければなりません。

海外介護人材定着のための日本語教育支援に必要な5つのポイント

では、介護福祉士合格に向けた介護日本語教育支援に必要なポイントを5つご紹介します。

①短期的、中長期的な目標を設定する
「日本で介護福祉士の資格を取りたい」という夢を持って来日する海外介護人材は少なくありません。しかし、何もしなければ夢は実現しませんし、反対に闇雲に無計画な努力を重ねても意味がないと言えますd。3か月後、半年後、1年後…きちんと目標を設定し、それに沿った学習計画を立て、着実に実行していくことで、夢の実現に近づいていくのです。

②体系立てられたカリキュラム
そして、そのために不可欠なものは、明確な目標設定や学習計画に基づいた教育です。海外人材は限られた在留期間のあいだに日本語での生活や介護の仕事に慣れ、プロとして成長し、国家資格「介護福祉士」を取得するまで、無駄なく効率的に介護の日本語や専門知識を習得していかなければなりません。

そのためには、外国人の語学習得プロセスを熟知し、母語ではない日本語による介護教育の経験がある専門家がカリキュラムを策定することが必要であり、学習効果を高めるための重要なポイントとなります。

③主体的に学習する力
介護福祉士試験合格に体系立てられた教育は不可欠ですが、あくまでも学習を進めていくのは海外介護人材自身です。自ら目標達成に向けて自立学習を進めていく力も必要です。しかし、その意欲を持ち続けるには本人の努力だけではなく、一緒に働く日本人職員や施設の利用者との日本語でのコミュニケーションが大きな役割を果たします。

生活の場や職場など、周りの理解や協力を得ながら、わからないことは教えてもらい、実践して成功し、ときには失敗もし、また学ぶ。これを繰り返すことで学習を意欲的に進めることができます。活かす場のないことばや知識をひたすら暗記する作業は、とても辛く、挫折を早めます。自立学習を進めるためには、本人の意欲を支える施設の協力体制も必要なのです。

④一緒に頑張る仲間、問題解決の場
同じ目標を持つ学習者同士が学び合える環境も大切です。勉強は孤独な努力の積み重ねと感じる人も多いかもしれませんが、互いに学び合い、わからないことを解決に導く仲間や教師の存在は、大きな励みとなりモチベーションの維持にもつながるはずです。

⑤介護現場を熟知する経験豊富な日本語教師
冒頭にも述べましたが、介護福祉士を取得するには多岐に渡る専門知識と技術を身につけなければなりません。それらを外国語である日本語で習得していくことは、外国人にとって非常に困難なことです。

施設の日本人職員の方は海外人材に対して介護の指導ができると思いますが、残念ながら日本語教育の専門家ではありません。また、一般的な日本語教師は日本語の専門家ですが、介護については何も知りません。介護と日本語、どちらにも精通する日本語教師が教育支援を行うことで効率的に学習を進めることができます。

まとめ

ここまで介護福祉士取得のための教育支援について、解説してきました。目標設定や計画的な学習、体系立てられた教育カリキュラム、優秀な講師陣、もちろんどれも欠くことのできない大切な要素です。が、何より海外人材を目標実現まで導くのは、彼らの職場である施設に仲間として迎え入れられ、日本人スタッフや利用者の方と国籍や文化、宗教などの違いを超えて良好な人間関係を築き、施設の中で介護職員としての役割を持つことだと思います。

「日本で働きたい」というよりも「この施設でずっと働きたい」と思う気持ちこそが、介護福祉士取得の意欲を強く掻き立てる原動力となるかもしれません。

介護人材不足の状況はこれから今以上に深刻化することが確実です。介護福祉士を目指す意欲的な海外介護人材を受け入れ、共に働くための適切な教育支援をしていくことが、それぞれの施設に、ひいては日本に、人材不足の解消をもたらすのではないでしょうか。

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