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介護現場で外国人職員に必要とされる日本語能力は?日本語教育支援についても紹介

2024.06.17

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昨今人材不足が問題となっている介護現場では、海外からの介護人材を受入れている介護施設が増えてきています。

今回は、介護施設で働く外国人の数や日本語レベルから、日本語教育のサポート方法や外国人介護人材の定着に向けての支援に関することまで、詳しく解説します。

既に外国人の介護人材を雇用されている施設や今後外国人を受入れてみようとお考えの施設を経営されている方や採用・育成担当の方はぜひ参考にしてください。

目次

介護現場で働く外国人の数

介護業界における深刻な人手不足を解消するための施策の1つとして、日本政府は外国人の介護人材受入れを推進しています。

厚生労働省の統計によると、介護分野で働く外国人の数は2023年時点で約4万人です。介護に関わる在留資格別では、以下の数字が発表されています。

 

【介護分野の外国人受入実績】

在留資格 受け入れ実績(在留者数)
EPA介護福祉士・候補者 3,257人(うち資格取得者635人)
※2023年1月1日時点(国際厚生事業団調べ)
在留資格「介護」 5,339人
※2022年6月末時点(入管庁)
技能実習 15,011人
※2022年6月末時点(入管庁)
特定技能 17,066人
※2023年1月末時点(速報値)(入管庁)

2019年に施行された在留資格「特定技能:介護」においては、2019年時点ではわずか16人でしたが、年々増加傾向を辿り、2023年12月時点では、2万8千人を超えています。

出典:
厚生労働省「介護分野における外国人の受入実績等」
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」

 

介護分野における在留資格について詳しく知りたい方は、以下のコラムも併せてぜひご覧ください。
外国人を介護職員として雇用できる在留資格の種類と特徴を徹底解説!

 

外国人介護士が求められる日本語能力はどれくらい?

外国人が日本の介護現場で働くために、在留資格を取得する際には、それぞれの在留資格において求められる日本語レベルが設けられています。

日本語レベルを測る試験として、「日本語能力試験(JLPT)」が用いられるケースが多く、日本語能力試験の各レベル認定の目安は以下のように公表されています。

 

【日本語能力試験 各レベル認定の目安】

レベル 概要
N1 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
N2 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N4 基本的な日本語を理解することができる
N5 基本的な日本語をある程度理解することができる

出典:日本語能力試験JLPT「N1~N5:認定の目安」

 

日本語能力試験を目安として、各在留資格の取得時の日本語レベルは、以下の通りです。

 

【在留資格別取得時の日本語レベル】

在留資格 日本語レベル
EPA介護福祉士・候補者 ベトナム人:N3程度以上
インドネシア人・フィリピン人:N5程度以上
在留資格「介護」 日本語についての要件はなし
但し、介護福祉士国家試験取得が必要
※養成校ルートで在留資格「介護」を取得する場合、
養成校入学時にはN2相当レベルの日本語能力が求められる
技能実習 N4程度以上
特定技能 N4程度以上

出典:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」

 

在留資格「介護」を除き、他の在留資格では日本語レベルが要件になります。日本語能力試験や国際交流基金基礎テスト等は、基本的な言語知識や、読み取り、聞き取りの基礎力を測る試験であり、会話テストはありません。そのため、同じ合格者であっても、日本語でのコミュニケーション能力については個人差が見られます。

特に、介護現場においては、利用者の方や日本人スタッフとの日本語でのコミュニケーションが不可欠であるため、外国人介護人材の入国時の日本語レベルは十分といえません。

また、介護現場では、介護記録や申し送りのための記録、その他様々な報告書など、日本語で書くことも求められるため、日本語教育支援を行うことが大切です。

 

Zenkenでは、海外介護人材を対象とした日本語教育プログラム「ZENKEN NIHONGO 介護」をご用意しています。「動画レッスン」と「ライブ授業」の二部構成になっており、

動画レッスンでは、日々の業務に必要な介護知識や介護日本語について学びます。読み取りや聞き取り能力の向上にも繋がります。

ライブ授業では、動画レッスンで学習したことの理解を深め、運用につなげる授業を行います。ライブ授業で講師や仲間と一緒に話しながら勉強することで、学習へのモチベーションを維持し、介護現場でのコミュニケーションや業務への意欲・自信の向上につなげることを目的としています。

「ZENKEN NIHONGO 介護」について、詳しくは以下よりご覧いただけます。

外国人介護人材のための日本語教育サポート

前述の通り、外国人介護人材を受け入れた後も、人材に対して日本語教育支援を行うことは重要です。ここでは、外国人を受入れた介護施設として、どのような日本語教育のサポート方法があるか紹介します。

 

介護日本語教材の提供

介護現場では、日常的に使われる日本語だけでなく、介護に必要な様々な日本語を理解していなければなりません。

介護現場で使用される語彙は、介助に必要な語彙、体の部位、病気や症状を表す語彙、様々な報告や申し送りに必要な表現、利用者やご家族とのコミュニケーションに必要な日本語など、多岐に渡っています。特に病気や症状を表すことばの中には、褥瘡や拘縮など、日本人にとっても聞きなれないことばがたくさんありますので介護の日本語を勉強することは必要です。

ふりがな付きの介護の日本語教材は、数多く市販されています。全額もしくは一部を負担してあげて、人材自身に自分に合った日本語教材を選んで購入してもらうのも1つの手です。

 

自治体などの日本語教室の利用

教材を使っての独学だけではなく、日本語教師の指導による日本語教室に通わせたり、日本語教師を派遣して施設で日本語レッスンを行ったりすることも、海外介護人材の日本語能力を向上させるために役立ちます。

自治体によっては、外国人介護職員向けの日本語教室の受講料を無料で実施している場合があります。

日本語教師の派遣については、地域の日本語学校や自治体などで、対応しているケースもあるようですので、問い合わせをしてみてはいかがでしょう。

 

eラーニングの活用

対面の講座等は、決まった時間や場所での学習となります。一方で、学習アプリやオンデマンド教材、eラーニング等によるオンライン学習は、場所や時間を選ばずに、自主学習が行えます。

 

学習環境の整備と日本人職員の協力

ここまで、日本語学習のための支援について、いくつか方法を紹介してきましたが、それぞれデメリットもあるので、注意が必要です。

市販の本や学習アプリ等は手軽に始められますが、モチベーションが維持できず学習が継続されないことも多いです。

外国人だけではなく、日本人でも仕事をしながら勉強することはとても大変なことです。

日本語教育の支援を行う上で大切なことは、「介護福祉士を取得する」等、それぞれの目標を達成するために、挫折することなく、計画的に学習を続けられる環境を整えることです。

また、学習環境を整えるだけでなく、施設内での業務の行い方を統一したり、OJTやその他研修のあり方を見直したりするなど、現場の協力も欠かせないポイントと言えます。

外国人介護人材への日本語教育サポートと並行して、業務の見直しや、業務で使用している言葉の棚卸などを行うのも施設全体にとって効果的です。

日本人と外国人の職員同士が円滑にコミュニケーションを図るために日本人職員に「やさしい日本語研修」を受講してもらうこともおすすめします。

 

Zenkenでは、海外人材とよりスムーズにコミュニケーションが取れるようになる「やさしい日本語研修」をご用意しています。やさしい日本語や研修内容など詳しくは以下のページよりご覧いただけます。

 

外国人介護人材に長く働いてもらうための日本語教育支援

永続的に日本で就労が可能になる在留資格「介護」を取得すれば、外国人の介護職員に長くはたらいてもらえます。

在留資格「介護」の要件として、介護福祉士国家試験の合格が定められています。施設として、外国人職員への介護福祉士国家試験合格を後押しする日本語教育は、長く働いてもらうために重要な支援です。

また、介護福祉士の国家資格を保持することは、外国人職員本人のキャリアパスとしても、待遇面で優遇されることに繋がります。

 

Zenkenでは、外国人介護人材のための介護福祉士国家試験対策講座をご用意しています。
学習者一人ひとりにサポーターが寄り添う「伴走型」日本語教育プログラムで介護福祉士国家試験の合格を目指します。

 

まとめ

介護現場における深刻な人手不足を背景に、外国人介護人材の受入れは今後ますます重要な施策となっていくでしょう。しかし、外国人が日本の介護現場で長く活躍するためには、適切な日本語教育支援が欠かせません。

外国人介護職員が必要とする日本語能力を正確に把握し、在留資格取得時の日本語レベルだけでなく、実際の業務で求められるコミュニケーション能力も重視することが大切です。日本語能力試験などの日本語の試験だけでは測れない実践的な会話力や書く力を養うためには、継続的な教育とサポートが不可欠になってくるでしょう。

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