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技能実習から特定技能へ移行する方法は?メリットや注意点も解説

2023.11.06

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近年、日本において、介護、建設、外食産業などでの労働力不足が深刻化しており、これを解決するために技能実習生や特定技能人材の需要が増加しています。

技能実習制度は、途上国の技術力向上を促進するために設けられ、一方の特定技能制度は、即戦力となる海外人材を確保し、日本の人手不足解消が急務とされている産業を支えることを目的としています。技能実習から特定技能への移行は、要件を満たしていれば可能とされており、移行によるメリットもあります。

今回は、技能実習から特定技能へ移行する際の要件や方法、メリット、注意点などを解説します。現在技能実習生や特定技能人材の採用を検討されている法人様、技能実習生が既におられる法人様の参考になれば嬉しいです。

目次

「技能実習」から「特定技能」へ移行するための要件

「技能実習」から「特定技能」へのスムーズな移行には、以下の2つの要件を満たす必要があります。これらの要件を満たすと、「日本語試験」と「技能評価試験」が免除され、特定技能への移行が可能となります。

1.技能実習2号を良好に修了していること

技能実習2号は、入国後1年目の技能等を習得する技能実習1号に続く、2年目から3年目まで(計2年間)の活動です。実習計画に従って3年間の技能実習を修了していれば、この要件を満たすことになります。

2.技能実習の職種・作業内容が特定技能1号の業務に関連していること

特定技能1号の受け入れは、以下の12の特定産業分野に限られています。試験免除を受けるためには、技能実習で行った職種や作業内容がこれらの分野に関連している必要があります。

①介護
②ビルクリーニング
③素形材・産業機械製造・電気・電子情報関連産業
④建設
⑤造船・舶用工業
⑥自動車整備
⑦航空
⑧宿泊
⑨農業
⑩漁業
⑪飲食料品製造業
⑫外食業

技能実習で行った職種や作業内容が特定技能の産業分野と関連しない場合は、移行先産業分野の「技能評価試験」に合格すれば移行は可能です。但し、技能実習2号を良好に修了していることが要件となります。この場合、「日本語試験」は免除されます。

「技能実習」から「特定技能」への移行手続き

海外人材を「技能実習2号」から「特定技能1号」へ移行させる際には、以下のような手続きが一般的です。ステップごとに見てみましょう。

1.雇用契約の締結

最初に、特定技能人材と受け入れ法人が雇用契約を締結します。

 

2.特定技能人材支援計画の策定または登録支援機関の委託契約

支援計画の策定や登録支援機関との委託契約を締結します。

 

3.事前ガイダンスと健康診断

雇用契約の締結前後に、特定技能人材に対する事前ガイダンスを行い、健康診断を受けさせる必要があります。

 

4.追加基準の申請

特定技能産業分野ごとに必要な追加基準や特定の国の海外における雇用に関する申請や手続きが必要であれば、それに従います。

 

5.在留資格変更許可申請

最後に、在留資格を変更し、「特定技能」の在留資格を取得するため、出入国在留管理庁に申請を行います。

登録支援機関と委託契約を結ぶことで、支援計画全体を委託することも可能です。

なお、「技能実習」から「特定技能」への移行以外に、「留学」からの変更においても、概ね上記の手続きと同様です。追加の要件がない場合、「在留資格変更許可申請」の結果通知は通常、申請後2~3ヶ月程度で届くでしょう。

「特定技能」へ移行するメリット

では「技能実習」から「特定技能」に移行する際のメリットを見てみましょう。

即戦力人材であるため人材不足を解消しやすい

技能実習2号修了まで、3年間日本で暮らしているため、一定の日本語レベルを習得し、各産業分野の技能も身につけています。そのため、即戦力として雇用することができ、人材不足が深刻な企業や法人にとっては、プラスになると言えます。

受け入れの人数制限がない

技能実習は受け入れ人数に制限がありますが、特定技能においては、「介護」と「建設」の産業分野を除き、人数制限はありません。

受け入れ申請の手間が少ない

技能実習生を受け入れる際と比較して、特定技能は受け入れ申請手続きが複雑ではなく、雇用後は、直ちに業務に就くことが可能です。

一定の日本語や特定の産業分野における能力を有することが要件であるため、研修の負担もあまりかかりません。また、受入れまでの時間やコストも低く抑えられます。

ただし、「特定技能外国人支援計画」(合計10項目)を作成して、それに基づく支援は必要です。「特定技能外国人支援計画」の作成とそれに則った支援は登録支援機関と委託契約を結ぶことによって、手間を省くことができます。

 

Zenkenは特定技能人材の登録支援機関です。技能実習から特定技能へ移行する際に必要な手続きや支援をワンストップで承っております。海外人材の受け入れにお悩みの方は以下のお問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

 

「特定技能」へ移行する際の注意点

技能実習から特定技能へ移行する際には、注意するべき点もあります。以下では留意しておくことを挙げます。

転職されてしまう可能性がある

特定技能は技能実習とは違い転職が可能という点が挙げられます。特定技能へ移行したら辞められてしまう可能性はゼロではありません。長く働いてもらうためには、福利厚生や教育支援の充実など労働環境や待遇を海外人材にとって満足いくものにしていくことが求められます。

納税や届け出の義務を守ったかを確認する

技能実習の人材を特定技能に移行させ採用する場合は、技能実習生として従事していた時に税金を納めていたか、また必要な届け出の義務を守ったかを確認する必要があります。未納の税金があったり、届け出の義務を怠ったりしていた場合には、技能実習から特定技能へ移行する際の審査において不利な要素となってしまいます。移行を行う前に念のためもう一度確認し、もし不備があるようであれば、速やかに対処しましょう。

そもそも在留資格の「技能実習」と「特定技能」の違いは?

「技能実習」、「特定技能」どちらも介護や建設、外食産業など人手不足が深刻な産業分野で働くことが可能な外国人の在留資格制度です。それぞれの違いを以下に挙げて解説していきます。

違い1:目的

最大の違いは各在留資格の「目的」です。技能実習は、発展途上国で暮らす人々に先進国である日本の技能や技術、知識などを移転し、発展途上国の経済発展に役立ててもらうことを目的としています。そのため、受け入れ時に技能水準や日本語能力水準を測る試験が原則ありません。

一方の特定技能は、日本における特定の産業分野での人手不足の解消を目的とした、一定の専門性・技能を持った海外人材を労働者として受け入れる在留資格制度です。

特定技能においては、1号・2号ともに「日本語試験」と「技能評価試験」を受験して、一定の水準に達することが求められます。たとえば、技能評価試験では、1号は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」が、2号は「熟練した技能」が受け入れの水準として設けられています。

2023年9月現在において、技能実習制度の廃止か見直しが検討されています。また、特定技能制度では、2023年6月に政府は2号の受入れ分野の拡大を発表しました。特定技能2号が適用されていた分野は建設と造船・舶用工業の2分野のみでしたが、介護以外の他の9分野が加わり、特定技能2号の対象は11分野に拡がります。

 

違い2:就業可能な業務や業種

特定技能は前述の通り12産業分野における業務に限られています。技能実習についは業種別に従事できる職種と作業が細かく設けられ、合計86職種・156作業になります。各業種の職種数と作業数は以下の通りです。

技能実習各業種の職種数と作業数

業種 職種数 作業数
農業関係 2 6
漁業関係 2 10
建設関係 22 33
食品製造関係 11 18
繊維・衣服関係 13 22
機械・金属関係 16 31
その他 20 37
合計 86 157

違い3:対象国

特定技能は原則すべての国が対象ですが、技能実習は以下の16ヶ国の新興国が対象とされています。

①インド
②インドネシア
③ウズベキスタン
④カンボジア
⑤スリランカ
⑥タイ
⑦中国
⑧ネパール
⑨パキスタン
⑩バングラデシュ
⑪フィリピン
⑫ベトナム
⑬ペルー
⑭ミャンマー
⑮モンゴル
⑯ラオス

 

違い4:在留期間とその条件

特定技能1号は在留資格を更新すれば、最長5年まで在留期間の延長が可能です。2号に移行すれば在留期間の上限はありません。

技能実習は、1号(1年以内)から2号(2年以内)、3号(2年以内)までの変更で最長5年まで在留できます。この場合、技能実習生は技能評価試験を受験して、合格することが必須条件です。1号から2号への移行は学科と実技、2号から3号は実技の試験が実施され、合格することが必要です。

 

違い5:受け入れ人数の制限

特定技能の建設業と介護分野を除いて、特に制限はありません。特定技能介護分野の人数制限は、日本人常勤職員と同数までです。技能実習については、全ての業種の職種・作業内容に受け入れられる人数に制限が設けられています。たとえば、技能実習1号では常勤職員の総数を、2号では常勤職員の総数の2倍を超えてはならないと定められています。

 

違い6:転職の機会

前述の通り、技能実習の目的は労働ではないため、転職という選択肢は原則存在しません。一方の特定技能は日本人と同様に転職が可能です。

まとめ

「技能実習」から「特定技能」への移行には特定の要件を満たす必要があります。また、メリットと注意点があるため、技能実習と特定技能の違いも含め、十分に理解したうえで、移行を実施することをおすすめします。

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