2023.11.01
国内の人手不足を解消するために、海外人材を受け入れる制度「特定技能」は、2019年4月に設立されました。12の産業分野で受け入れることができ、「介護」もその中のひとつです。
今回は、特定技能「介護」で海外人材の採用をご検討されている介護施設の経営者や採用担当の方々に向けて、特定技能「介護」で海外人材を受け入れるまでの流れやポイント、メリット、注意点をご紹介します。ぜひ、貴施設での介護職員採用計画にお役立ていただければ幸いです。
特定技能「介護」の申請を行うためには、雇用する外国人に、介護の知識や技術がある程度備わっている必要があります。そのため、以下の2つの試験に合格しなければなりません。
○介護技能評価試験
○介護日本語評価試験
また、日本語レベルについても要求され、以下のいずれかの試験で既定のレベル取得が必須です。
○日本語能力試験N4レベル
○国際交流基金日本語基礎テストA2レベル
介護技能評価試験は、厚生労働省の主導により実施されている介護技術のレベルを測る試験です。試験問題は「介護の基本」「こころとからだのしくみ」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」の4つのカテゴリーから出題され、学科試験と実技試験が行われます。
介護現場で円滑に業務を進めるためには、使われる用語を理解する必要があります。試験問題で出題されるカテゴリーは「介護のことば」「介護の会話・声かけ」「介護の文書」の3つです。介護日本語評価試験も厚生労働省が主導して定期的に行われています。
日本語能力試験は、公益財団法人日本国際教育支援協会と独立行政法人国際交流基金が主催しています。日本語を母語としない方の日本語能力を測る語学検定試験で、最上級のN1からN5まで5つのレベルで判定されます。
国際交流基金が実施している、就労目的で来日する外国人が生活するために必要な日本語能力を判定する試験です。レベルはCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のA2相当の日本語力ひとつだけで、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定します。
上記の試験は、日本国内だけではなく、ベトナムやインドネシア、フィリピンなど海外の国々でも実施されています。
特定技能「介護」で外国人を雇用するためのルートは以下の2つに分かれます。
○海外から新規で日本で就労する外国人を雇用
○日本国内に既に在留している外国人を雇用
雇用のルート別に、海外介護人材の受け入れ(就労)までの流れやポイントを見ていきましょう。
STEP① 海外人材が既定の試験に合格または技能実習で帰国した場合は技能実習2号を修了
STEP② 特定技能「介護」の人材と雇用契約を結ぶ。
※契約締結後に「受入れ機関等による事前ガイダンス」や「健康診断」を実施する必要があります。
登録支援機関と委託契約の締結
※登録支援機関とは、特定技能で外国人の人材を雇用する企業や施設に委託されて、支援計画の作成・実施を行う機関です。
STEP③ 特定技能外国人の支援計画を策定する。
※支援計画業務の一部は、第三者に委託することができますが、登録支援機関へは、そのすべてを委託することが可能です。
STEP④ 在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局へ行う。
※主な添付資料は以下の通りです。
・受入れ機関の概要
・特定技能雇用契約書の写し
・1号特定技能外国人支援計画
・日本語能力を証明する資料
・技能を証明する資料 等
STEP⑤ 在留資格認定証明書受領
※受領後は、海外人材本人へ送付します。
STEP⑥ 海外人材本人が在外公館に査証(ビザ)申請
STEP⑦ 査証(ビザ)受領
STEP⑧ 入国
STEP⑨ 就労開始
STEP①~④までの流れやポイントは、前述の海外から雇用するルートとほぼ同じです。
STEP① 海外人材が既定の試験に合格または技能実習2号を修了
STEP② 特定技能「介護」の人材と雇用契約を結ぶ。
登録支援機関と委託契約の締結
STEP③ 特定技能外国人の支援計画を策定する。
STEP④ 在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局へ行う。
STEP⑤ 在留資格を特定技能「介護」へ変更
STEP⑥ 就労開始
Zenkenは、法務省許可 登録支援機関です。
特定技能「介護」で海外人材の受け入れをお考えの介護施設の経営者や採用担当の方は、
以下よりお気軽にご相談ください。
介護現場で働いてもらう人材として、特定技能「介護」で受け入れる際には、どのようなメリットがあるのか、以下で解説します。
新規で開設する介護施設の事業所では、特に介護士や介護職員の採用が急務になります。特定技能「介護」で採用した人材は、新規で開設した介護施設でも、すぐに雇用が可能です。
「特定技能」の他に、海外介護人材を受け入れる制度では「技能実習」や「特定活動(EPA)」がありますが、これらは介護施設などの事業所を新設してから3年間は海外人材の雇用をすることができません。「特定技能」であればこのような新設要件がないため、開設後すぐに海外人材を雇えます。
特定技能「介護」では、介護職員として働く前の講習として、生活オリエンテーションや通常の業務説明などを行う程度で長い期間を要しません。
一方、技能実習制度では、「日本語」や「介護導入講習」などの講習を総じて320時間ほど行う義務があります。特定技能には、講習の義務はなく、就労のために必要なことを説明する程度でよいため、当日数時間の講習を行えば、すぐに働いてもらえます。
前述の通り、特定技能「介護」の要件として、日本語能力を測る試験で既定のレベルに達して、介護の技能や知識に関する試験に合格していなければ、在留資格が得られません。そのため、特定技能「介護」の海外人材は、基礎的な日本語や介護知識が備わっていると言えるでしょう。
特定技能の場合、介護保険法で定められた職員の最低人数である人員配置基準に就労開始日からカウントできます。技能実習の場合は、人員配置基準に算定されるまで、2ヶ月の研修と6ヶ月の実習が必要で、訪日後8ヶ月間は、人員配置基準にカウントすることができません。
また、特定技能「介護」では、同じ施設内であっても業態が違えば配置換えができない技能実習と異なり、日本人と同様に配置換えが可能です。
介護施設が特定技能「介護」で海外人材を受け入れるためには、海外人材への就労および生活の支援と特定技能協議会の加入をしなければなりません。以下では、それぞれについて解説していきます。
特定技能「介護」の海外人材が安定的かつ円滑に活動を行えるようにするため、介護施設などの受け入れ法人は、海外人材の就労および日常・社会生活のうえで、支援が必要とされています。下記の10の支援項目があり、これらの支援が求められます。
①事前ガイダンス
②出入国する際の送迎
③住居確保・生活に必要な契約支援
④生活オリエンテーションの実施
⑤公的手続等への同行
⑥日本語学習機会の提供
⑦相談・苦情への対応
⑧日本人との交流促進
⑨転職支援
⑩定期的な面談の実施、行政機関への通報
また、特定技能「介護」で海外人材を実際に受け入れる前に、上記の各支援項目に対して支援計画を作成し、地方出入国在留管理局に提出する必要があります。更に、支援計画に添って、実施することも義務付けられています。
支援計画の作成や実施の業務は、登録支援機関へ委託できます。
Zenkenは、法務省許可 登録支援機関です。
特定技能「介護」で海外人材の受け入れをお考えの介護施設の経営者や採用担当の方は、
以下よりお気軽にご相談ください。
特定技能協議会とは、特定技能制度が円滑に機能するように設けられた機関です。特定技能の対象である12分野の業界ごとに所管省庁が中心となり、受け入れ企業や業界団体などの法人、関係省庁で構成されています。特定技能「介護」の関係省庁は、厚生労働省です。
特定技能「介護」で海外人材を受け入れる介護施設などの法人は、介護分野における特定技能協議会に加入する義務があります。
特定技能協議会の主な目的として、以下の2点が挙げられます。
○特定技能海外人材を適切に受け入れる体制づくり
○特定技能海外人材の保護
特定技能協議会では、必要な情報を収集し、海外人材を受け入れる準備を行います。加えて、特定技能人材を日本全国で必要な場所に送れるように調整もしています。また、状況に応じて海外人材を受け入れている法人に指導を行い、海外人材が安心して働けるように促します。
特定技能で外国人の人材を雇用する法人に委託されて支援計画の業務を行う登録支援機関も分野によって、特定技能協議会に加入する必要がありますが、介護分野においてはその義務はありません。
他にも海外人材を受け入れる際には、「文化の違いへの理解」や「職場のコミュニケーションの円滑化」に配慮する必要があります。
Zenkenでは、海外人材とともに働く現場の日本人スタッフの方々を対象に、異文化理解や、言い換え技術などをレクチャーする「やさしい日本語」の研修もご用意しています。
詳しくは、以下のページをご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。
特定技能「介護」で海外人材を雇用するルートは「海外」と「日本国内」の2つがあることをご理解いただけましたでしょうか。また、特定技能で海外介護人材を採用するメリットや注意点についても十分ご理解したうえで、登録支援機関や専門のコンサルタントに相談して、採用を進めていくのがよいでしょう。
お電話でのお問い合わせ